2021年10月12日
「不動産の名義を変更したいんだけど、登記費用はいくらですか?」という質問を非常に多く受けるのですが、不動産の名義を変更する場合の登記費用は、①名義を変更する原因と②不動産の固定資産税の評価額によって、大きく異なります。
①名義を変更する原因について
よくある原因は、「売買」「贈与」「相続」ですが、「売買」は、お金を出して買う場合、「贈与」は、ただでもらう場合、「相続」は、不動産の所有者が亡くなったことにより、名義を相続人に変更する場合ですね。
ここで、登記費用には、法務局に申請する際に納付する登録免許税という税金が含まれるのですが、この原因によって税率が異なるのです。「売買」の場合、土地は「固定資産税の評価額×1.5%」、建物は「固定資産税の評価額×2%」、「贈与」の場合、土地・建物ともに「固定資産税の評価額×2%」、「相続」の場合、土地・建物ともに「固定資産税の評価額×0.4%」という具合です。
ちなみに、売買により自己が居住する建物を取得する場合で一定の条件を満たす場合には、登録免許税の軽減を受けることができますが、詳細は割愛します。
以上より、仮に土地の固定資産税評価額が1000万円だとして、登録免許税は、「売買」の場合は1000万円×1.5%=15万円、「贈与」の場合は1000万円×2%=20万円、「相続」の場合は1000万円×0.4%=4万円ということになります。全然違いますよね!
②固定資産税の評価額について
上記①でもご案内したとおり、登録免許税は、固定資産税の評価額を基に計算します。固定資産税の評価額は、市区町村から課される固定資産税の基となっている価格のことです。毎年5月くらいに送付される固定資産税の納税通知書を見ると、固定資産税の評価額が記載されています。
ちなみに、固定資産税の評価額は、登記申請をする当該年度のものを使用しますので、例えば令和3年度に登記申請をする場合には、令和3年度の固定資産税の評価額を基に登録免許税を計算します。
よく、固定資産税の評価額が分からない状態で、「大体で構わないので登記費用はいくらぐらいですか?」と聞かれるのですが、例えば土地の売買で、固定資産税が1000万円の場合と2000万円の場合では、登録免許税だけで15万円も異なるので、なかなかお答えしづらいところです。
〔まとめ〕
「不動産の名義を変更したいんだけど、登記費用はいくらですか?」というご質問につきましては、登記の原因と固定資産税の評価額についてお伺いしますので、よろしくお願いいたします。また、マンションの場合には、登録免許税の計算が複雑になる関係で、権利証や登記簿謄本(全部事項証明書)などがあると非常に助かります。
以上、登記費用のうちの登録免許税のはなしを中心にしましたが、「贈与」で名義を変更する場合には、税務署から「贈与税」という最も高い税金を請求されることがありますからご注意を!