子が親よりも先に死亡した場合
2013年5月24日 金曜日
相続に関する相談の中で意外に多いのが、「子が親よりも先に死んでしまった」ことにより生ずる問題です。
たとえば、長男の生前、
・親が長男のために住宅資金を援助したり、
・二世帯住宅を建てたり、
・長男とその親が同居していたり
することは、よくあることですが、ここで、「長男が、親よりも先に死亡してしまった」とします。
このような場合において、
①長男の相続を契機として生ずる親族間の問題
②長男の死亡後、その親が死亡した際に生ずる遺産相続の問題
が、しばしば生じます。
①について、
長男に子がいれば、その子と妻が相続人となり、遺産相続しますが、このような場合には概ね次のようなケースに分かれます。
(1)親の側の心情として、「自分は長男を跡継ぎとして思っていたからこそ、いろいろと資金援助などをしてきたが、長男が死亡した以上、その嫁には家から出て行って欲しい」というケース
(2)長男の妻の側の心情として、「長男には他にも兄弟がいるのに、これからも私が長男の親の面倒をみなくてはならないのか」というケース
いずれのケースにおいても、長男の遺産が、親と同居している家の場合には、自分の住みかがどうなるのか、ということも関わってくるので、感情的にこじれてしまいがちです。
②について、
次に、子の死亡後に、その親(特に問題となるのが父親)が亡くなった場合です。たとえば、「長男Aが死亡し、次にAの父Bが死亡した。父Bの相続人が、Bの妻C,長男Aの子D(代襲相続人)、Bの長女E(AとEは兄弟)である」とします。
このような場合に、長女Eの心情として「親Bは、お兄ちゃんにばっかりお金をたくさん出してあげたから、今度は、私がたくさん相続したい」とか「Aの嫁の側であるDには遺産を相続させたくない」ということで、感情的にこじれてしまうことがあります。
ここで、やはり主たる遺産が不動産で、しかもそこに父Bの妻Cと、Aの妻とその子Dが住んでいたりすると、さらにややこしくなります。
以上のような問題が生じた場合、法律的に云々というよりも感情の方が先行してしまうので、当事者全員が満足・納得するように解決することは、とても困難です。(なので、法律的にこうなるという話は省略します。)
事前に対策しておくことが、一番大切なのですが、「子が親よりも先に死ぬ」ということ自体、あまりありませんので、事前の対策も取りづらいところです。
ただ、少なくとも、
1 自分が家を建てる時や重篤な病気になったことなどをきっかけに、自分が死亡したときの相続人は誰か?その時にもめごとが起こる可能性はないか?
2 家を建てるときに、二世帯住宅にしたり、親から資金援助を受ける場合には、世間では相続や離婚の際にもめごとになることがあるが、自分の場合にもめる可能性がないか?
を考えてみることが必要なのではないかと思います。