2014年10月27日
アメリカでは、「交通事故に遭うと、救急車よりも早く弁護士が来る」という話を聞いたことがあります。
これは、何事につけ裁判沙汰になることが多いアメリカ社会を揶揄したものですが、どうやら
日本もアメリカのような訴訟社会に進みつつあるようです。
先日、新聞のトップで「交通事故訴訟が10年で5倍」という記事を読みました。
これは、2000年から任意の自動車保険に弁護士特約を付けることができるようになり、
実際に交通事故に遭った場合、弁護士費用が300万円程度まで保険金で支払われるようになったため、
今までは裁判になることが少なかった軽微な物損事故でも、弁護士を代理人として訴訟になるケースが
急増しているとのことです。
たとえば、20万円の賠償を得るために裁判をして、弁護士報酬が保険金から80万円から90万円支払われる、
といった事例もあるようで、損保会社は悲鳴をあげているとのこと。すでに、収支が赤字のところもあるとか。
「報酬目当てで裁判の期日を増やしたり、無意味に控訴したりする弁護士もいる…」といったことまで
書かれてしまっています。
これは、消費者金融に対する過払金の請求案件が減少し、弁護士が交通事故の損害賠償請求案件にシフトしている
ことが背景にあり、そもそも司法改革による弁護士の急増により、仕事を積極的に取りに行く(取りに行かざるを得ない)
弁護士が増えていることが原因のようです。(良し悪しはともかくとして。)
そういえば、「つい数年前までは、テレビやラジオなどで、過払金の返還に関するコマーシャルがしょっちゅう
流れていたけど、最近は、もっぱら交通事故に関するものが増えているなぁ」と合点がいきました。
私は仕事上、いろいろな弁護士さんとお付き合いがありますが、皆さん本当に仕事熱心で、正義感にあふれた方ばかり
です。そして、ほとんどの弁護士さんは、そのような方だと思います。
なので、今回の記事は、ほとんどの弁護士さんにとって、気の毒だなと思ってしまいました。
あと、司法書士も、今でも過払い金の返還に関するコマーシャルをやったりしていますから、弁護士さんについて
とやかく言うことはできないですよね。