2012年6月14日
最近、書類作成等の依頼を受けた事例から、以下備忘録として。
「AはBに対して商品の売掛債権800万円を持っていて、この債権が焦げ付いています。現在、AはBとの取引は停止していますが、かつてAはBに対して継続的に商品を供給していて、「毎月末日締めの翌月末日払い」の売り掛けとしていました。債権の回収にあたり、事前に講じておくことは?」
個人間のお金の貸し借りであれば、債務者との間で分割払い等の契約(債務弁済契約)を公正証書にして、場合によって連帯保証人を付けてもらうなどの手段を講じます。
一方、商人の売買代金債権を分割払い等で契約するにあたっては、消滅時効が「2年」と短いので注意が必要です(継続的な商品の供給であるならば、それぞれの弁済期から「2年」。一方、個人間のお金の貸し借り等の場合の時効期間は「10年」)。
従って、分割払い等の債務弁済契約をするのではなく、未回収の全額800万円をAがBに貸したこととする準消費貸借契約をして、月々の分割払いとします。これにより、時効期間は「準消費貸借契約で定めた弁済期から5年」と伸びるのです。そして、準消費貸借契約を締結するにあたっては、やっぱり公正証書にする、担保を差し入れてもらう等を考慮することになります。
なお、裁判手続をすることを前提に消滅時効の進行を止めるためには、時効中断のための催告を内容証明郵便でして、その後6ヶ月以内に訴訟提起をすることがセオリーですが、勝訴判決を得ることにより時効期間は、10年になります。