2015年1月22日
最近、不動産業者さんとの間で、「告知事項」に関することが話題になることが多いのですが、
たとえば、次のような事実が、不動産を売却した後に判明した場合に、売主や仲介業者は、責任を
負うのかという話です。
例1 一人暮らしの老人が、家で倒れて意識がなくなっているのを、訪問したヘルパーがこれを発見し、
救急車を呼んだ。その後、救急車が到着したが、病院に搬送する前に自宅で息を引き取ってしまった。
例2 お客さんが買った家の敷地が、戦時中に防空壕だったことが分かった。
例3 買った家の前の道路で、数年前に交通事故で人が亡くなったということを知った。
ここで、不動産の売買や賃貸に関する「告知事項」とは、
「契約前の重要事項説明の際に知らせなくてはならない情報」ということですが、
「事前に知っていたら売買や賃貸の契約をしなかったであろう」と思われる事実を指します。
典型的な例は、当該不動産において自殺や殺人などがあったという事実(心理的瑕疵)が該当します。
で、もしこのような事実があれば、契約前に行われる「重要事項説明」で買主等にその内容を
知らせないといけないのですが、もしも当該事実が隠された状態で契約し、後から買主等が
その事実を知った場合、相手方に対し、損害賠償請求や契約の解除を求めることができます。
当然、不動産業者が売主として、又は仲介として、不動産の取引をする場合、告知事項の説明を
するわけですが、このような告知事項のある不動産を売却等する場合には、通常の取引相場よりも
とても安い価格で取引されることになります。
ただ、「心理的瑕疵」といっても内容について明確な基準がないので、トラブルになるケースが
多いんです。
たとえば、冒頭挙げた3つの例について、皆さんはどう思われますか?
個別的な詳細な事情や時間の経過などにもよりますが、売主側に法的な責任を求めるのは、
ちょっと難しいのかなという気がします。
最近は、不動産業者が告知する必要はないだろうという事実であっても、
買主が、後からご近所さんから聞いて、トラブルになることが増えているそうです。
なので、不動産業者としては、告知事項にあたるかどうか微妙なものであっても、
何でも「告知する」傾向にあると言ってました。
最後に、先の例1に関して、
「救急車の中で息を引き取ったのか」それとも「自宅で息を引き取ったのか」が、
問題になる時代なんですね・・・。
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