2014年9月10日
相続人が多数にのぼり、相続人間で遺産分割協議がまとまるのに時間がかかる、または一部の相続人と
協議がまとまらないおそれがある場合に実務的にとる手法として「相続分の譲渡」というものがあります。
たとえば、相続人がA、B、C、D、Eの5人いるとして、相続分が各5分の1ずつとします。
そして、A、B、C間で「遺産の全てをAが取得する」という合意が得られているが、DとEがこれに
反対しているといった状況の場合、BとCは、自己の各相続分をAに譲渡することで、相続人の立場から
離脱することができます。(ちなみに、相続分の譲渡は無償でも有償でも可。)
こうすることで、以後は、A、D、E間で遺産分割協議を成立させるか、Aは個別にD、Eと
交渉し、D、Eが納得する金額で相続分を買い取る(有償で譲渡してもらう)ということが可能になります。
最近依頼を受けた案件で、相続人が16人もいることが判明し、相続分の譲渡による方法を使いました。
金融機関の預貯金の相続手続についても、遺産分割協議書ではなく、相続分の譲渡による方法で、スムーズに
できるか若干の不安があったのですが、無事に完了し一安心です。(昔は、銀行の担当の人が、相続分の
譲渡のことをよく知らなくて、受け付けてくれなかったという話を聞いたことがあります。)
ちなみに、今までに、私が書類等を作成して、相続分の譲渡により預貯金の相続手続をしたのは
以下の金融機関です。
・埼玉りそな銀行
・みずほ銀行
・三菱東京UFJ銀行
・ゆうちょ銀行
・東京都民銀行
今までに金融機関ともめたことはありませんが、地方銀行や信用金庫などで、「もしかして「相続分の譲渡」のことを
あまり知らないかも?」と思われる場合には、事前に確認をした方がよいと思います。