2014年1月15日
よくある遺言に関するトラブルの相談です。
「兄弟姉妹のうちの一人である長男Aが親と同居し、老後の親の面倒をみていた。
Aは、他の兄弟姉妹が知らない間に、その親に、『遺産の全てを、Aに相続させる』という内容で
遺言を作らせていた」というもの。
このような遺言書が、親の死後に出てきた場合、ほぼ間違いなくトラブルになります。
そして、延々と争ったのち、Aと他の兄弟姉妹との間においては絶縁状態になり、
次世代以降にわたって怨磋が引き継がれていくことになります。
そもそも、遺言書とは、相続に関するトラブルが生じないように作成するものなんですが、
遺言があるが故に、深刻なトラブルになるケースです。
背景には、親の面倒をみていたAが、「それに見合うだけの財産が欲しい」と
判断能力の衰えた親に遺言を書かせる、といった事情が大体共通しています。
そもそも、判断能力の衰えた状態で作成された遺言書は無効なのでは?という議論の余地も
あるのですが、裁判で遺言書の有効性を覆すのは、至難の業です。
結局、A以外の相続人は、遺産分割調停で遺留分(相続人としての主張できる最低限の取り分)を
主張していくことになります。