2012年1月6日
不動産を購入するにあたり、売買代金を支払った人がその名義を受けることは当然のことですが、①実際には夫婦ともに共同で売買代金を負担したのに、名義は夫だけの名義になっている、②実際には親から売買代金の一部を援助してもらったのに、名義は子のみの名前になっている、ということがよくあります。
このように、お金を支払った人が不動産の名義を取得していない場合、税務署は「お金を支払ったにも関わらず名義を受けなかった人」が「名義を取得した人」に売買代金を贈与したとみなすので要注意です。結果として、国から多額の贈与税を請求されることになってしまいます。また、①夫婦間贈与の特例や②相続時精算課税制度の特例を受ける場合には,一定の要件を満たしている場合には,贈与税を回避することができますが,このような場合には,不動産を取得した年の翌年2月1日から3月15日までの間に特例適用の旨を税務署に申告しないと,やはり贈与税を請求されてしまいます。
それでは,上記①や②のように登記をしてしまった場合に,贈与税を回避するためにはどうすればよいでしょうか。
方法は大きく分けて2つあります。1つ目は,登記を実体に合わせて変更する方法(「更正」といいます。)で,2つ目は,お金を贈与したのではなく貸したことにすることです。
それぞれの方法における注意点は次のとおりです。 第1の方法について。たとえば,1千万円の売買代金をAが500万円,Bが500万円支払ったにもかかわらず,Aのみが所有者として登記されている場合には,Aの持分を2分の1,Bの持分を2分の1に変更(更正)します。ただし,抵当権などの担保が付いている場合には,当該抵当権者の協力が必要になります(抵当権者である金融機関の承諾書や印鑑証明書が必要)。協力が得られない場合などには,Aの持分2分の1をBに移転するという手法を取ります。(実務では,更正によらず持分を移転する方法によることが多いです。)
第2の方法について。贈与ではなく,貸したことにするので,きちんと金銭消費貸借契約書を作る方がベターです。また,「必ず」借りた側から貸した側に,お金を返済しなければなりません。(分割して毎月弁済する場合には,振込みの方法により,証拠が残るようにしましょう。一般に,通帳に振込みの旨の記載があれば領収書がなくても大丈夫なので。)
そう言えば,親から多額の贈与を受けていたにもかかわらず,贈与税を払っていなかったとして「平成の脱税王」と呼ばれていた人がいましたね…。