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相続放棄の注意点

2020年8月23日

相続放棄とは、世間では相続人が財産を一切取得しないことを言いますが、法律的には、意味がもう少し狭くて家庭裁判所に対して相続放棄を申述し受理されることで、自分が相続人ではなくなる(プラスの財産も、マイナスの財産も一切取得できなくなる)ことを言います。

相続人全員の話合い(遺産分割協議)により「特定の人が相続し、その他の相続人は放棄をする」旨がまとまったとしても、家庭裁判所に対して相続放棄の手続をしていない限り、マイナスの財産は法定相続分に応じて承継することになるので注意が必要です。

たとえば、Aが死亡し、その相続人が妻Bと子Cであった場合で、Aの遺産が①自宅、②預金100万円、③借金200万円であったとします。

ここで、BとCの話し合いで、「①②③すべての財産をBが相続する。Cは、相続権を放棄する。」と決めたとしても、③借金200万円は債権者(お金を貸している銀行など)の承諾がない限り、BとCが2分の1ずつ負担するということです。

Cが一切借金を負担しないためには、家庭裁判所に対して相続放棄の手続をする方が確実ですが、ここで重大な落とし穴があるので要注意です。仮に今回のケースで、裁判所に対してCが相続放棄の手続をしたとすると、Cは最初から相続人ではなかったということになり、子供であるCの相続権は、子供の次に相続権があるAの親、親が死亡している場合には、Aの兄弟姉妹(兄弟姉妹で死亡している者がある場合には、その子供(Aの甥・姪))へと相続権が移ります。

このような場合、妻Bは、自分が住むところを失ってしまうので相続放棄をすることができない一方で、Cが裁判所に対して相続放棄をしたことにより、Cの相続権が、次の順位の人に移ってしまいます。そして、亡くなられた方の親は先に死亡している場合がほとんどですから、Aの兄弟姉妹(甥姪)に相続権が移ってしまうということになり、Aの兄弟姉妹(甥姪)にも家庭裁判所に相続放棄の手続をしてもらうか、Aの兄弟姉妹(甥姪)の全員と遺産分割協議の話をまとめなくてはなりません。いずれにしても、事情を説明するだけでも一苦労ですよね。

というわけで、今回は、相続放棄についての実務上の注意点を2つ申し上げました。

①裁判所に相続放棄の手続をしないと借金を負う可能性があること。

②裁判所に相続放棄の手続をすると相続権が次の順位の人(死亡した人の子からその親、その親が死亡している場合には、その兄弟姉妹、その兄弟姉妹が死亡していると甥・姪)に移ること。

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