2013年6月6日
不動産売買の登記依頼があった件で、ふと当該不動産の登記簿を見ると、
所有者の名義が「亡○○○○相続財産」となっていました。
これは、元々の不動産の所有者が死亡し、その相続人が存在しないため、
このような登記がなされたものです。
つまり、相続人が不存在の場合、利害関係人の申立てにより、家庭裁判所から
相続財産管理人が選任され、相続財産そのものは法人となる(民法951条)のですが、
「亡○○○○相続財産」というのは、○○○○さんが亡くなって、相続財産が法人化されたことを
示しているのです。
では、法人化された相続財産は、どうなるのでしょうか?
1 まずは、故人に対して債権を持っている人に対して、当該相続財産から精算がなされます。
実務上よくあるのは、故人の病院関係の費用(入院費、治療費)を、親戚の人などが、
立替えて払っているような場合です。
2 次に、死亡後に発生した葬儀代、墓石代などの費用を、その立替えた人に精算をします。
(生前にかかった費用を立替えた場合は、故人に対する債権で、これを精算するのに
裁判所の許可は要りませんが、死後に発生した費用を精算するには、裁判所の許可が必要(権限外許可)。)
3 そして、故人と縁の深い人(特別縁故者)がいる場合には、家庭裁判所の許可を受けて、その人に財産の
全部又は一部を分与します。
ちなみに、単に親戚関係にあるだけでは特別縁故者としては認められず、故人に対して特別な貢献をした人
でなければ認められません。(結構、厳しい!)
4 さらに、最終的に残余財産については国庫に引き継ぐことになるのですが(国のものとなるということ)、
相続財産が不動産の場合、一般的には売却して現金に換えることが多いです。
(相続財産管理人が、裁判所の許可を得て、任意売却する。)
現金に換えることで、ここから相続財産管理人の報酬を得ることができますし、
国は、不動産をもらっても、維持・管理・処分が大変なので、なるべく現金に換えてから、
国に引き継ぐことになるのです。
と、いうことで、今回私の所に来た登記の依頼は、上記4の相続財産である土地の任意売却の案件でした。