2014年10月

遺産分割調停と審判

2014年10月31日 金曜日

相続について、相続人間で遺産分割の話し合いがつかないときは、家庭裁判所での

遺産分割の調停または審判の手続きによることとなります。

最近、私が遺産分割調停申立書を作成した事案で、比較的珍しい結果となったので、

以下、備忘録としてまとめておきます。

【事案の内容】

相続人は、被相続人の子であるAとBの2人。Bは、被相続人の前夫の子で、Aとの面識はない。

Aは埼玉県某市在住で、Bは愛知県某市在住。主たる相続財産は、被相続人が居住していた空家。

Aには、成年後見人が選任されており、Aを申立人、Bを相手方として遺産分割調停を

申し立てたケース。

【申立てに至った事由】

Aの成年後見人が、遺産分割協議の申入れをしたが、Bは拒絶。

やむなく、Bの住所地を管轄する家庭裁判所に調停の申立てをする。

【結論】

調停がなされることなく、ただちに審判によることとなった。

「遺産を、全てAが単独で取得する」旨の審判がなされ、A、Bいずれも、

一度も裁判所に行くこともなく、終了。

かかった期間は、申立てから審判終了まで約1か月。(今までで最短記録!)

 

何が珍しいのかというと・・・

1 調停に代わる審判について

相続人間で、遺産分割協議が調わないときは、調停と審判のいずれの手続きを申し立てる

こともできますが、実務上はまず、調停の申立てを申し立てることが一般的です。

(いきなり審判を申し立てても、職権で調停に付されるケースが多いのが実情です。)

そして、調停が不成立となった場合に、審判に移行することになります。

にもかかわらず、今回は、調停の期日が設けられることなく、即、調停に代わる審判が

なされました。(家事事件手続法284条)

通常、遺産分割調停の申立てをしたら、裁判所から相手方の意向を聞いてくれるのですが、

今回は、明確に相手方が、「一切関わりあいたくない」旨を裁判所に対して申し出たためと

推察されます。つまり、裁判所の方で「調停をやってもムダだな」と判断されたものと

思われます。

2 審判の内容について

調停の場合は、遺産分割の内容が法定相続分と異なっても有効とされていますが、

審判の場合は、「家庭裁判所がその裁量によって相続分を増減することは許されない」と

されているので、遺産が不動産の場合の審判は、通常以下のような内容になります。

「各相続人が法定相続分に応じて取得するものとする。」または、

「Aは、当該不動産を単独で取得し、Bに代償金を支払うものとする。」

ところが、今回は、前述のとおり、Aは、代償金を支払うこともなく単独で取得する旨の

審判がなされました。

これは、申立書にかなり詳しく、Aの以下のような事情を記載したため、これを裁判所が

斟酌してくれたものと推察されます。

① 諸事情により、不動産を早期に売却する必要があること

② 法定相続分に応じて取得しても、その後の売却で、Bが協力してくれない可能性が高いこと

③ 単独でAが取得して、売却代金をBと折半するとなると、税務上いろいろと問題があること

④ Aには代償金を支払う資力がないこと 

なお、この場合でも、通常は、審判により当然にAが単独で遺産を取得できるのは難しいと

思われますが、「審判手続においても、相続人がその相続分を実質的に放棄、あるいは譲渡するような

意思表示を明らかにしているような場合にまで法定相続分に従った審判をしなければならないという

わけでない」とされていますので、今回はBの「一切の関わりを拒絶する」という意思表示が、

その相続分を実質的に放棄するものと解釈されたものと推察されます。

3 当事者の出頭について

調停にしても、審判にしても、本人出頭主義が適用されますので、弁護士を代理人とする場合を除き、

原則として本人が出頭しなければなりません。(ただ、相手方が出頭要請を無視して欠席することは

よくあります。)

今までの経験上、少なくとも申立人は、裁判所に行かなければならないものと思っていましたが、

今回は、申立人、相手方ともに一度も裁判所に行くことなく、審判が終了しました。

(ちなみに、調停の申立書類の提出は、郵送で行いました。)

 

 

訴訟社会

2014年10月27日 月曜日

アメリカでは、「交通事故に遭うと、救急車よりも早く弁護士が来る」という話を聞いたことがあります。

これは、何事につけ裁判沙汰になることが多いアメリカ社会を揶揄したものですが、どうやら

日本もアメリカのような訴訟社会に進みつつあるようです。

先日、新聞のトップで「交通事故訴訟が10年で5倍」という記事を読みました。

これは、2000年から任意の自動車保険に弁護士特約を付けることができるようになり、

実際に交通事故に遭った場合、弁護士費用が300万円程度まで保険金で支払われるようになったため、

今までは裁判になることが少なかった軽微な物損事故でも、弁護士を代理人として訴訟になるケースが

急増しているとのことです。

たとえば、20万円の賠償を得るために裁判をして、弁護士報酬が保険金から80万円から90万円支払われる、

といった事例もあるようで、損保会社は悲鳴をあげているとのこと。すでに、収支が赤字のところもあるとか。

「報酬目当てで裁判の期日を増やしたり、無意味に控訴したりする弁護士もいる…」といったことまで

書かれてしまっています。

これは、消費者金融に対する過払金の請求案件が減少し、弁護士が交通事故の損害賠償請求案件にシフトしている

ことが背景にあり、そもそも司法改革による弁護士の急増により、仕事を積極的に取りに行く(取りに行かざるを得ない)

弁護士が増えていることが原因のようです。(良し悪しはともかくとして。)

そういえば、「つい数年前までは、テレビやラジオなどで、過払金の返還に関するコマーシャルがしょっちゅう

流れていたけど、最近は、もっぱら交通事故に関するものが増えているなぁ」と合点がいきました。

私は仕事上、いろいろな弁護士さんとお付き合いがありますが、皆さん本当に仕事熱心で、正義感にあふれた方ばかり

です。そして、ほとんどの弁護士さんは、そのような方だと思います。

なので、今回の記事は、ほとんどの弁護士さんにとって、気の毒だなと思ってしまいました。

あと、司法書士も、今でも過払い金の返還に関するコマーシャルをやったりしていますから、弁護士さんについて

とやかく言うことはできないですよね。

 

 

 

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2014年10月17日 金曜日
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よくある相談 

2014年10月8日 水曜日

先日、入間市の無料法律相談会に相談員として参加したのですが、ほとんどが

『老後・死後』に関する相談でした。

また、事務所でも『老後・死後』に関する以下のような相談が増えています。

①身寄りがなく、老後の生活が不安である。

(寝たきりになってしまったら、どうすればよいのか?、判断能力がなくなってしまったらどうすればよいのか?)

②自分の死後の相続のことが心配である。

③自分の死後の葬儀やお墓のことが、心配である。

それぞれ、

①については、財産管理契約と任意後見契約

②については、遺言

③については、死後事務委任契約

といった具合に、予め講じておくことができる方法があるのですが、

いずれも生前に判断能力があるうちに契約等をしておかなくてはなりません。

加齢とともに尽きない不安が生じるのは、やむを得ないことなのかもしれません。

司法書士として、多少なりとも不安を取り除く一助となれればと思う今日この頃です。

 

 

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